”FU" その記録 カメラアイ '66/2 写真・文=荒木のぶよし(経惟)
ここにFU(フー)と呼ばれているひとりの若い女性がいる
という一文とともに写真が始まり、艶やかな都会で暮すひとりの女性の孤独に迫っています。
記載されているFUの履歴書によると、「本名、武田文江。1942年生まれ。練馬区に住む。4人兄姉の末っ子。高校を出てから、服飾学院を卒業した。無職。賞罰なし。職なし。品行方正。特技=料理と服飾デザイン。・・・・・・・・・・・・・・・・・」といったように、後の荒木を彷彿させる細かな設定づくりがなされています。
死ぬことはさびしい やっぱりひとりぽっちはさびしい いまの東京-日本 FUはどこにでもいる
と、壁を背に立ち尽くす姿で締めくくられています。
1964年第1回太陽賞「さっちん」から2年、
荒木経惟25歳、あの名作『センチメンタルな旅』の5年前の作品です。
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