荒木経惟の名を世に知らしめた第1回太陽賞「さっちん」の発表は、1964年7月号の月刊太陽でした。その発表以前、'64年5月号の写真雑誌『日本カメラ』に、荒木は「日曜日のモカ」を発表しています。
ロケ地は、有楽町のスバル街。現在、映画館スバル座が在るあたりで、老舗ジャズ喫茶”ママ”などあったようです。写真を観るとまだ戦後の名残が感じられます。
モデルのモカは、『ARAKI BY ARAKI』の中に、「妻陽子が唯一嫉妬したモデル」と荒木自身が紹介しています。
本人による写真の解説の欄には、初々しくこう記してありました。
最近「月曜日のユカ」という映画があった。その題名からもじってみたといえば楽屋裏がみえすくようだが、いまどきの若い女性はフシギな感情を露呈してボクらを驚かせることがある(もっともボク自身だって若すぎるほど若いのだけど・・・)。都会は孤独だという。その巨大な孤独のなかにみつけたひとりぼっちの女の<さが>を追ってみよう。
荒木経惟が、まだ世に知られる前の写真、
アラーキーマニアを自称する方なら、ぜひ手にとる価値がある本です。
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